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なぜ電力が不足しているの? 電力ひっ迫の理由と国の対応をわかりやすく

なんで電力が不足してるの?国はどう対策してるの?

そんなギモンにお応えします。

2022年現在、世界的に電力不足が問題になっています。

なぜ電力不足が起きているのか、その原因と国の対策をまとめました。

この記事の内容


✅電力不足の原因
✅政府の対策

電力不足の3つの原因

電力不足の原因は一つではなく、様々な問題が重なり合って起きています。

主な原因は3つです。

✅電力不足3つの原因

①東日本大地震以降、原発が停止しているから
②火力発電所の休廃止が進んでいるから
③電力会社が儲からないから

背景からわかりやすく解説していくよ

【理由その1】東日本大震災以降、原発が停止しているから

震災後、原子力発電はすべて停止

2011年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故を受けて、政府は当時稼働していた原発をすべて停止しました。

震災前は発電の3割を占めていた原子力発電

原子力発電が震災によって停止する前は、日本の3割の発電量を賄っていました。


発電設備と発電電力量|電気事業連合会 (fepc.or.jp)

震災後、原発は全て稼働停止し、代わりに穴埋めをしてきたのが火力発電です。

液化天然ガス(LNG)も火力発電のひとつだよ

原発を再稼働しているけど発電量は全然足りない

福島第一原発事故から10年余りが経ったいま、新たな完全管理基準をクリアした原発だけ再稼働していますが、発電量は全体の4%程度です。

原発事故より前の30%には遠く及びません。

つまり、原発の電力供給が足りない分の穴埋めは、今でも火力発電に頼るしかないのです。

ですが、火力発電には多くの課題があります。

【理由その2】火力発電所の休廃止が進んでいるから

老朽化により休廃止する火力発電所

先でお話ししたとおり、電力のほとんどは火力発電に頼っている日本ですが、肝心の火力発電所は老朽化による休廃止が相次いでいます。


2022年経済産業省資源エネルギー庁資料より

電力が不足しているにも関わらず、2016年~2020年までの5年間で、火力発電による発電量は減ってきています。

なんで必要なのに廃止されちゃうの?

それは、政府が脱炭素を目指しているからなんだ

再生可能エネルギーへの投資を進める政府

世界はいま、二酸化炭素を排出しない脱炭素社会を目指しています。

火力発電で排出される二酸化炭素などの温室効果ガスが原因で、地球温暖化が深刻化しているからです。

政府は脱炭素を実現するために、火力発電の設備投資を減らして、太陽光発電風力発電といった、温室効果ガスが排出されない発電設備にお金を使っています。

政府は2030年までに温室効果ガス46%削減の目標を全世界に発表しているんだ。でもこの目標を達成するには停止している原子力発電所をすべて再稼働しないと足りない計算だよ。

再生可能エネルギー

太陽光、風力、水力などの、有限の資源を使わない発電は、再生可能エネルギーと呼ばれているよ。再生可能エネルギーの特徴には、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない」の3点があるよ。

じゃあ、再生可能エネルギーを使った発電をどんどん増やせばいいんじゃない?

そうだね!でも、再生可能エネルギーにも欠点があるんだ

再生可能エネルギーには欠点がある

現在の技術力では、発電した電気を長時間貯めておくことはできません。

そして、太陽光発電風力発電は、天候に左右されるという欠点があります。

太陽光発電は、夜は発電することができません。

風力発電も、風のない日は十分に発電をすることができません。

再生可能エネルギーの欠点を補うには火力発電が必要

電力供給が安定しない再生可能エネルギーの弱点を補うためのつなぎとして、火力発電の必要性が改めて認識されてきています。

じゃあ、夜や風のない日は火力発電を使えばいいんだね!

そのとおり!でもそう簡単にはいかないんだ



【理由その3】電力会社が儲からないから

電力不足のもう一つの理由は、電力会社が儲からないからです。

電力自由化で価格競争が激化

2016年より一般家庭の電気も電力自由化がスタートしました。

電力自由化により、どの電力会社から電気を買うかを個人で選べるようになりました。これにより、電力会社同士での価格競争が発生し、企業はシビアに利益を重視しなければならなくなりました。

火力発電所を維持するにはお金がかかる

火力発電所を維持するには相当なお金がかかります。

そして、昼間はクリーンな太陽光発電風力発電の電力の方が売れるので、火力発電は売れません。

再生可能エネルギーが供給できないときだけ売れる火力発電は、電力会社にとって採算が見込めず、火力発電事業から撤退する企業が相次いでいるのです。

火力発電に使う資源の価格が上がっている

さらに追い打ちをかけるように、火力発電に使う資源の価格がどんどん高騰しています。

直近2年間で、火力発電に使う原油、石炭、LNG液化天然ガス)の価格は3~4倍まで上がり、過去最高値を更新しています。

値段高騰の理由は、円安による輸入価格の高騰や、コロナ禍が回復したことによる需要の拡大、天然ガスの主要産出国であるロシアへの経済制裁の影響などが挙げられます。

政府の3つの対策

電力を安定供給するために国はいろいろな対策を考えています。
中でも、喫緊の電力不足を解消するための主な対策は3つです。

✅政府の3つの対策

原発再稼働を急ぐ
②電力を募集する
③国民に節電を呼びかける

【対策その1】原発再稼働を急ぐ

原子力発電は温室効果ガスを排出しないクリーンな発電方法のひとつです。

ですので世界各国も、脱炭素に向けて原子力発電所の建設をどんどん進めています。

日本では、東日本大震災前に原発は57基ありましたが、現在稼働しているのは10基のみです。(2022年6月時点)

この10基はいずれも西日本にあります。


日本の原子力発電所マップ 2022年版 | nippon.com

原子力発電は、脱炭素と電力不足を一気に解決できるので、政府は停止中の原発の再稼働を進めていますが、すぐに原発を再稼働させることは難しいのです。

法律を改正して60年以上使えるようにしようとしている

原子力発電所は原則40年、延長すれば60年まで稼働することができ、それ以降は廃炉になることが原子炉等規制法という法律で決められています。

政府はこの60年の制限を撤廃し、さらに長期間原発を稼働できるように法改正を検討しています。

自治体や地元住民からの反対があるから

もう一つ、原発稼働が難しい理由は「事故のリスクがあること」です。

原発で万が一事故が起きると、放射性物質が流出し、近くに住んでいる人たちに被害が及ぶ恐れがあります。

ですので原発の近くに住む人たちは、多くの人が原発の再稼働に反対しています。

住民や自治体の反対を無視してむりやり原発を稼働させるわけにはいきませんので、安全性の説明と、住民たちとの合意を丁寧に行っていかなければならないのです。

【対策その2】電力を募集する

政府の対策2つ目は、単純明快に電力募集をしています。

不足分の電力を補うために、政府が電力を公募して、入札で電気事業者から電気を購入しようとしています。

【対策その3】国民に節電を呼びかける

政府の対策3つ目、こちらも単純明快に節電の呼びかけです。

予想外の猛暑が記録された2022年6月、予想外の電力消費が発生し政府は国民に節電を呼びかける事態となりました。

最終的には、国民一人一人が節電をしていかなければなりません。

節電するとポイントがもらえるデマンドレスポンス

デマンドレスポンスとは、国民に節電に協力してもらうためのしくみです。

電力が不足しそうな時にスマホのアプリに節電協力要請の通知が来ます。

通知を受けて節電すると、その節電量に応じてポイントがもらえるというものです。


みなとアクルスでは、今夏よりデマンドレスポンス実証試験を開始しました! | みなとアクルス(minato AQULS)

電力不足の原因と政府の対策まとめ

電力不足には主に3つの原因がありました。

✅電力不足3つの原因

①東日本大地震以降、原発が停止しているから
②火力発電所の休廃止が進んでいるから
③電力会社が儲からないから

そして、政府は主に3つの対策を実行しています。

✅政府の3つの対策

原発再稼働を急ぐ
②電力を募集する
③国民に節電を呼びかける



根本的な解決は火力発電に頼るしかない

法律を変えて原子力発電所の稼働期間を伸ばすことができたとしても、10年20年もすれば老朽化により廃炉となります。

海外では原発の建設を進める国が多くありますが、日本は原発事故の背景もあり、新たな原発建設を進めていくことは難しいでしょう。

脱炭素の実現のために開発を進めている再生可能エネルギーも、天候に左右されるという欠点があるので、つなぎの火力発電の必要性が世界各国でも認識されてきているのです。

おわりに

予想外の猛暑、発電所の老朽化、電力自由化、脱炭素の目標、原発の停止、資源価格の高騰など、数えきれないほどの要因で電力不足が起きていることが分かりました。

たくさんの課題を今後どうやって解決していくのか、政府の取り組みに注視しつつ、私自身もできるかぎり節電に協力していきたいと思います


最後まで読んでいただきありがとうございました!