私には5歳と2歳の娘がいます。
親として彼女たちに願うことは、ただ幸せに育って欲しいという一心です。
学歴や収入も大事ですが、本人が幸せであること以上に望むものは何もありません。
そこで本日紹介するのはこちら
本書は子供が人生を自分らしく幸せに歩むための教育の指南書です。
簡単に内容をまとめました。興味を持たれた方はぜひ本書を読んでみてください。
全ては人生のコントロール感できまる
本書では、最も大切なこととして、「コントロール感」が強調されています。
コントロール感とは、子供が自分の人生をコントロールできているという感覚のことです。
コントロール感が乏しいと、大きなストレスを感じたり、無力感に苛まれたり、受動的になるなど、身体と精神の健康に悪影響を与えたりすることも分かっています。
また、多くの親が間違った前提に基づいて育児を行っていることも指摘されています。
たとえば、成功への道は一本であり、それから外れてはならないという考え方や、学校の成績が成功に直結するという誤解、厳しく教えれば子供が立派で成功した大人になるという信念などです。
親が望むことを押し付けるのではなく、子供に判断力を身につけさせ、自主的に考え、行動を促すための方法を見つける手助けをすることが重要です。
コントロール感を左右する要素
子供のコントロール感にらは、様々な要素が関わっています。
ストレス・不安への対処、親との関係、十分な睡眠など、あらゆる要素がコントロール感に繋がっていきます。
【コントロール感を左右する要素】
- 親との関わり方
- ストレス・不安
- 睡眠・休息
順に解説します。
子供コントロール感を高める親子関係
「支配」でも「放任」でもない、「民主的」子育てを目指す
子育てにおいて、子供の意思や自主性を尊重することは極めて重要です。
そのため、次のような原則を心に留めましょう。
1.子供の意思に反して何かをやらせることはできない。
2.子供がしたくないことを、したいと思わせることはできない。
3.子供がしたいことを、したくないと思わせることはできない。
4. 少なくともいまは、子供がしたいこと、したくないことをそのままにしておいて問題ない。
子供が自らのペースで成長し、学び、発展することを促進するために、親は子供のペースを尊重する必要があります。
親が子供の自己決定権を尊重することで、子供も自信を持って自己表現し、成長していくでしょう。
親は子供の成長を支援し、必要に応じて指導や助言を行いますが、子供の意志を尊重し、強制することはありません。
これが、親と子供の間に健全な関係を築く第一歩です。
「それはきみが決めること」
子供の人生において、自らの選択を尊重し、責任を持つことが重要です。
そのため、子供の行動は「それはきみが決めること」が原則となります。
しかし、子供は人生経験や知識が不足しているため、時には愚かな選択をしてしまうこともあります。
そのため、親は子供に選択肢を与える一方で、必要な情報提供や助言を行うことが求められます。
「それはきみが決めること」ではないもの
「それはきみが決めること」の例外もあります。
親自身の都合に合わない場合や、大きな危険を伴うようなケースです。
- 5歳の子供が動物園に行きたいと言っても、親が疲れている場合は行かなくてもよい。
- 16歳の少女が夜道を自分で運転して旅行に行きたいと言っても、親が直感的に不安を感じた場合は行かないように助言する。
子供が自らの意志で選択を行うことは大切ですが、自由放任にすることは反対にストレスを引き起こします。
子供は経験から学び、経験は誤った決定から生まれます。
風邪をひくことや成績が悪くなることなど、失敗から得る経験は知恵を生み出します。
子供が愚かな選択をしようとしているときに、その選択が致命的なものでなければ、親は口出ししたいところをぐっとこらえてその選択を見守り、子供に失敗させる機会を与えるべきです。
それでもコントロールを引き渡すのは怖い
子供が間違った選択をした場合、親は心配や不安を感じるでしょう。
怪我をしたり、不幸になったり、最悪の場合、子供を失うことも考えられます。
しかし、子供を監視して行動を制限するような方法では、子育てはうまくいきません。
親は子供に対して、心配していることや行動に伴うリスクについて情報提供し、いつでも助ける用意があることを伝えましょう。
過去の失敗を持ち出して信用できないというメッセージは子供に送ってはなりません。
代わりに、親は子供の信頼を築くために、彼らの選択に対するサポートと理解を示すべきです。
ただし、薬物摂取などのリスクが高い問題行動の場合は、ただちに介入する必要があります。
このような緊急の状況では、親は全てを白紙に戻し、子供に対して明確な指導やサポートを提供する必要があります。
親が子供に対して恐れや不安を感じることは自然なことですが、その恐れに基づいて子供の自立や成長を妨げることは避けなければなりません。
親は子供の安全と幸福を最優先に考えつつも、彼らの自己決定権と成長を尊重するバランスを保つことが重要です。
ストレス・不安への対処
二つ目はストレス・不安への対処です。
特に若者は小さな子供や大人に比べて、ストレスの影響を受けやすい傾向にあります。
慢性的なストレスは若者の脳に特に大きなダメージを与える可能性があります。、一度うつ病になると、その後の人生を楽しむことが難しくなります。
しかし、ストレスを完全に取り除くことは不可能です。
仮に、子供のストレスを親が取り除くと、その子供は逆に不安傾向が強くなることが分かっています。
そのため、子供はストレスに負けない、高いストレス耐性を身につけることが重要です。
ストレス耐性を高めるには
ストレス耐性を高めるには、適度なストレスを感じ、それを乗り越えることです。
例えば、お遊戯会の発表での緊張など、ストレスを感じるからこそ集中力を発揮し、高いパフォーマンスを発揮できます。
ストレス耐性を高めるためには、子供が困難な課題を自分の力で乗り越えていく必要があります。
子供の課題を親が介入して取り上げてしまうことは、短期的なストレスを取り除くことはできても、子供のストレス耐性が身に付かず長期的には悪影響を及ぼします。
親の役割は、親自身が不安のない存在になることに集中することです。
親が自己のストレスを管理し、子供に適切なサポートと指導を提供することで、子供はストレスに立ち向かう力を身につけることができます。
休息と睡眠
次はコントロール感を左右する要素の三つ目、「休息と睡眠」についてです。
脳は休息を必要としています。
特に現代人はゲームやスマホの普及により絶えず情報にさらされ、脳が休息できていません。
良いパフォーマンスを発揮するためには、脳の休息が必要不可欠です。
本記事では、「瞑想」と「睡眠」について紹介します。
順に説明します。
瞑想のすすめ
瞑想は科学的に効果が証明されています。
定期的に瞑想を行う子供は、ストレスや不安が減少し、怒りや敵意を示すことが少なくなります。また、よく眠り、創造的な思考が促進され、健康的で自尊心が高まり、学業成績も向上します。
習慣化するためには、家族で一緒に1日10分を1〜2回行うことが良いです。
無理強いせず、瞑想の効果を説明し、本人の意思で行うことが重要です。
瞑想の方法は、10分間ただ呼吸に集中することです。途中で雑念が湧いても問題ありません。
雑念に気づいたら、再び呼吸に集中します。
マインドフルネス瞑想を支援するアプリを試してみるのも良いでしょう。
深い睡眠
睡眠の専門家によれば、日中疲れていたり、カフェインを必要とするなら、睡眠は充分ではありません。
目覚まし時計なしで起きれないなら、もっと多くの睡眠が必要であると言われています。
こうした基準に従えば、私たちはほとんどみんな睡眠不足ということになります。
睡眠不足になるとコントロール感も弱まり、疲れれば疲れるほどベッドに行きにくくなります。
面白いドラマの続きが見たくなり、YouTubeを見るのをやめる判断力がなくなってきます。
さらに、睡眠不足が続くと、脳は不安障害を持つ人と似たような状態になります。
睡眠不足は学習効率を下げる
睡眠不足は学習にも大きな影響を与えます。
例えば、四時間しか眠っていない生徒に八時間勉強を教えるよりも、八時間眠っている生徒に四時間勉強を教える方が効率が良いと言われています。
ある実験では、普段より一時間多く寝るか短く眠るかに分けて、6年生を対象にテストを行った結果、35分の睡眠時間の差だけで認知テストの成績が4年生と同等になることが示されました。
睡眠不足は、学習能力に直接的な影響を与え、最大で2年分の認知力を奪ってしまうことがあるのです。
どのくらい睡眠が必要か
- 未就学児は一日に10〜13時間
- 6歳から12歳までは、一日に9〜11時間
- 14歳から17歳までは、一日に8〜10時間
- 18歳から21歳までは、一日に7〜9時間
の睡眠を取る必要があります。
ただし、睡眠時間だけでなく、子供が十分な睡眠を取っているかどうかを判断するためには、いくつかの基準があります。
それは、自分で起きられるか、日中疲れていないか、日中落ち着きがなくイライラしていないかなどです。これらの基準を考慮して、適切な睡眠量を確保することが重要です。