たくさんの健康食品やサプリメントがある中でなにを選べば良いか分からない、誰を信用すれば良いのかわからない、でも騙されたくはない。
そう思ったことはありませんか?
そんな人に向けた答えは
「メタアナリシスを信じれば健康になれます」
です。
本記事では、「何を食べれば病気になるリスクを下げて長生きできるのか」を解説します。
参考文献はコチラ
「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」
世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事
著者によると、日本は食事に関する情報量が多すぎる。
しかもその多くの情報は間違っているとのことです。
そして数々の健康食品の枕詞で使われる「最新の研究結果によると」には注意が必要なのだそうです。
最新の研究結果と聞くと正しいものに思えてしまいますが、信頼できる研究結果とは、数多くの研究を集めて分析したメタアナリシスと呼ばれるものです。
今日は、本書の中でもメタアナリシスの研究によって、健康によい、悪いの結論が出ているもののみ紹介します。
健康に良い食べ物、悪い食べ物
結論からいいます。
科学的に証明されている健康に良い食べ物と悪い食べ物は以下です。
【健康に良い食べ物】
- 魚
- 果物と野菜(フルーツジュース、ジャガイモを除く)
- 茶色い炭水化物
- オリーブオイル
- ナッツ類
【健康に悪い食べ物】
- 赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない。ハムやソーセージなどの加工肉は特に体に悪い)
- 白い炭水化物
- バターなどの飽和脂肪酸
補足しますと、白い炭水化物とは白米、小麦粉使ったパン、うどん、パスタなどのことです。
茶色い炭水化物とは玄米、全粒粉を使ったパン、そばなどのことです。
日本人が当たり前に毎日食べている白米は、実は体に悪い食べ物だということが多くの研究によって分かっています。
「科学的根拠」について
巷で出回っている健康食品に関する情報はほとんどがウソだと言うだけあって、本書では情報の根拠となる出典が全て記載されています。
そして、信用できる情報とは何か?を懇切丁寧に説明してくれていますので、紹介します。
研究してわかったことを科学的根拠エビデンスといい、エビデンスには強弱があります。
エビデンスとして強いものと弱いものを理解することで、「最新の研究で分かった〜」に騙されることなく正しい選択ができるようになります。
エビデンスの強弱は研究のやり方によって決まりますので、研究手法を紹介します。
ランダム化比較試験
エビデンスのレベルが強い研究手法がランダム化比較試験です。
試験者を2つのグループに分けて、1つのグループには試したい食品を与えて、もう1つのグループには与えないことによって、その食品の効果を調べる研究手法です。
その食品を食べたか、食べないか以外の条件は同じなので、食品の効果がはっきりわかる信頼度の高い研究手法です。
研究観察
特定の集団の食事に関するデータを集めてきて、調べたい食品を多く食べてるグループとあまり食べていないグループに分けます。
何年後かにそれぞれのグループの健康状態はどうなったかを追跡調査することで、その食品の効果を調べる研究です。
本当にその食品が原因なのか、他の要因を排除しきれないので、ランダム化比較試験よりも信頼度は劣ると言われています。
最強のエビデンス「メタアナリシス」
メタアナリシスとは、上で紹介した研究を10個、20個といくつも集めて結論を導き出す研究手法です。
最も信頼度の高い最強のエビデンスと言われています。
例えば、「ハンバーガーを食べても太らない」という研究結果がアメリカで発表されたとしましょう。(これはウソですよ、多分太ります)
そうすると日本人は、「アメリカ人の体質だからでしょ、日本人には当てはまらないのでは?」という疑問が生まれると思います。
1つの研究では、研究を行った地域の特性のようなものが疑問としてついて回りますが、
メタアナリシスなら数々の研究を集めているため、そのような懸念を払拭できる可能性が高いです。
もちろん、特定の地域だけの研究をいくつも集めたり、やり方が悪い研究を集めたりしたメタアナリシスは信用に足るものではありません。
徹底的に調べるなら、メタアナリシスでどんな研究を集めたのかを一つ一つ見ていく必要がありますね。
それは専門家に任せましょうか。
では何を食べればよいか
体に良い食べ物と悪い食べ物がわかりました。
それが科学的に最強のエビデンスと言われるメタアナリシスによって導き出された結論だということもわかりました。
では私たちは具体的にどうすればいいのでしょうか。
著者は「我慢ではなく置き換え」を推奨しています。
白米が体に悪いからといって、食べるのをやめるのはお勧めしません。
我慢は精神的にストレスがかかり、続けるのが難しく、挫折したときにリバウンドで余計に食べてしまうからです。
一番簡単なのは、体に悪い食べ物を体に良い食べ物に置き換えること。
- 白米を玄米に置き換える
- 赤い肉(牛肉や豚肉)を鶏肉や魚に変える
これだけです。
白米の代わりに野菜にしても良いです。
茶色い炭水化物の注意点
玄米や蕎麦、全粒粉のパンは健康に良いことがわかっていますが、選ぶ際には注意が必要です。
なぜなら、蕎麦粉が少ししか入っていないほとんど小麦粉でできている蕎麦粉入りうどんや、全粒粉が少ししか入っていないのに全粒粉パンと謳われている商品が多いからです。
商品を選ぶときは成分表を確認しましょう。
成分表は、含有量の多い順に書かれていますので、蕎麦粉や全粒粉が多く入っているかどうかがわかります。
玄米は、白米が混ざったものはブレンド米と表示されているので見分けることができます。
テレビの情報や健康本に惑わされるな
健康に良い食事と同じくらい大事なことは正しい情報を受け取ることです。
著者は、健康を手に入れるための第一歩は
①テレビの健康情報
②本屋で売られている「健康本」(内容が不正確なもの)
③日本語で書かれたインターネットの情報
をあまり信用しないことだと言っています。
テレビや出版社の市場原理を考えると、視聴率が高いほど良い、売り上げが高いほど良いわけなので、
「健康になりたければ野菜を食べなさい」という本を出してもおそらく売れないですが、「健康になりたければ野菜を食べるな」という本はベストセラーになる可能性があります。
よく目にするもの、流行りのものが正しい情報とは限らないということです。
「成分」に惑わされるな
以前に、緑黄色野菜が身体に良いことがわかり、緑黄色野菜に含まれるβカロテンが病気の予防に効くのではないかと注目されました。
日本でも、βカロテンが入った清涼飲料水が発売されるなど一世を風靡しました。
しかし、βカロテンの効果を確かめるランダム化比較試験で、βカロテンは病気のリスクを下げるどころかリスクを高めることがわかり、倫理的問題だとして試験は中止されました。
緑黄色野菜という食品そのものを食べることは健康に良いが、その中の特定の成分だけを抽出して摂取しても健康に良いかどうかはわからないということです。
テレビなどのメディアでは「リコピンの働き」と成分が良いものだと紹介されることが多いです。
リコピンを多く含むトマトは健康に良い食品ですが、その中のリコピンだけを取り出して摂取したときに、健康に良いかどうかの研究結果は出ていません。
成分だけを考える成分信仰は、逆に病気のリスクを高めてしまう恐れもあります。
大事なのは成分ではなく、その食品そのものが健康に良いかどうかです。
「成分」は視聴率の関心を引くので、テレビや健康本にとっての良いマーケティングツールなのです。
健康に悪いのに食べているのはなぜか
白米も豚肉も、日本人が当たり前に食べている食事ですよね。
健康に悪いとわかっているのになぜ誰も教えてくれないのでしょうか。
一つ目の理由は、最近わかったからです。
食事と健康に関する研究で近年明らかになったことなので、みんなまだ身体に悪いと知らずに食べています。
二つ目の理由は、政治的な理由です。
国民の健康を管理するのは厚生労働省という国の機関です。
米農家さんを守るのは農林水産省というこれまた国の機関です。
白米が健康に悪いと分かったので、厚生労働省が白米を食べないように国民に呼びかけるとどうなるでしょうか。
同じ国の省庁であり、農家を守る使命を持つ農林水産省が黙ってはいないでしょう。
事実、2015年に厚生労働省が玄米や麦など健康に良い食事に対して、レストランやお弁当のメニューにお墨付きとなる「健康的な食事」マークをつけようとしたことがありましたが、「白米の生産に影響がでる」とのことで取りやめになったことがあります。
もう一つ、ハムやソーセージなどの加工肉は健康に悪いという研究結果が発表されたときは、世界中の精肉業界から反体声明が出されました。
日本でも精肉企業3社が共同で反対声明を出しました。
このように、健康に悪いことがわかっても、政治的な理由で私たちの耳に入らないこともあるのです。
何も知らされずに、健康に悪いものを食べ続けるのはとても怖いことです。
どの情報を信じて何を食べるかは、自分で選ぶしかないのだと思います。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
普段あたりまえに食べている豚肉や白米が身体に悪いというのはビックリでした。
すぐに置き換えるのは大変なので、ひとつずつ置き換えていこうかなと思います。
記事では簡潔に伝えるために、健康に良い、悪いとしか書いていませんが、本書には○○がんになる確率が○%下がるとか、心筋梗塞のリスクが○%上がるなど、食べ物の良し悪しの理由が細かく書かれています。
そしてその出典となる研究を必ず記載している徹底ぶりは、本当の健康を手にするために信頼できる良書だと思います。
興味のある方は是非読んでいただければと思います。